今すぐできるピアノの地震対策  

 

 

宮城県では2011年の東日本大震災以降もたびたび大きな地震がありました。調べてみると、2012年〜2022年の間には震度5弱以上の地震が8回も発生しています。このような大きな地震ではピアノが倒れる可能性があるため、ご注意ください。

 

アップライトピアノは地震で前か後ろに倒れることがあります。

グランドピアノは地震で脚が外れることがあります。

 

私は調律師として主に宮城県内で活動しており、毎日お客様宅を訪れて調律や修理作業を行っています。東日本大震災後には多くのお客様や仲間の調律師から、震災時のピアノの状況について聞く機会がありました。全く動かなかったというピアノがある一方で、部屋の中央まで移動した、後ろや脇の壁を突き破った、倒れた、など様々な話を聞きました。

転倒を防いだ意外なもの

震災から1年程度はこのような話を聞く機会が多かったのですが、その中で、倒れかかったピアノをピアノの椅子が支えたという話は何度も聞きました。椅子を鍵盤下中央へ入れておくだけで転倒を防ぐことがあります。座面が低い場合は大きな本などを座面に置いて調整します。グランドピアノでも、脚が外れた本体を椅子が支えたケースがありましたので有効です。

グランドピアノで確認してほしいこと

東日本大震災ではグランドピアノの脚を支えるボルトが緩み、脚が外れたケースがあります。震災後のグランドピアノの調律時には、このボルトに緩みがないか確認していましたが、指で簡単に回ってしまうほど緩んでいることがありました。

確認方法は簡単です。工具を用意する必要がありますが、グランドピアノの3本の脚はそれぞれ2本のボルトで固定されていますので、ボルトが緩んでいないかを確認するだけです。グランドピアノはその独特な形状から、3本の脚それぞれの荷重が大きく異なります。ボルトが緩みやすいのは荷重がより重い鍵盤側の2本です。(特に低音側)     

下の写真はグランドピアノの脚の上部です。ボルトが見えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アップライトピアノもグランドピアノも、椅子は鍵盤下中央へ入れておくと転倒を防ぐことがあります。

 

 

 

 

 

サトウピアノサービス

調律師 佐藤泉