ピアノは1日で音が狂うのか。
結論から言うと、
1日でも変わります。ただし、全体が大きく狂うというより、弾き方によって一部の音が乱れることがあります。
4月上旬、3日間の公演で調律を担当しました。
その時の実際の変化を、できるだけわかりやすくお話しします。
3日間、同じピアノを見続けて
使われたのはスタインウェイのコンサートグランド。
出演者も3日間同じグループです。
こういう条件だと、ピアノがどう変わっていくか、がとてもよく見えます。
今回は、毎日午前中に調律を行い、本番の休憩中にも短時間の調律を行いました。初日のみ、リハーサル後にも調律しています。
こうした調律の回数は、演奏者や主催者のご要望によって変わります。本番前に1度だけ、というケースも多いです。
1日目
朝9時から最初の調律。
今回使用されるピアノは、前回の調律が1月、その前が11月ということで、ホールのピアノとしては少し間が空いていました。
そのためピッチ(音の高さ)が下がっており、440Hzから442Hzへ上げるところからスタートしました。
お昼にリハーサルがあり、その後に音を確認すると、
・特定の音にやや目立つ乱れ
・全体としては問題ない状態
でした。
正直に言うと、このままでもコンサートとしては成立します。
ただ、より良い状態にするために、ここで30分ほど調律を行いました。この時間があれば、全体をしっかり整えることができます。
そして、18:30より本番。休憩中に10分ほど調律を行いました。
この時は細かい音程を追い込むというより、全体のつながりを整える作業になります。
この公演では、最低音から最高音まで幅広く使われ、一部では強い打鍵もありました。こうした場合、特定の音が繰り返し強く弾かれることで、その音だけが他よりも狂いやすくなります。1音でも狂いがあると、その音を含む和音やオクターブの響きまで悪くなりますので、この休憩中の調律では、そうしたところを中心に確認と調律を行いました。
2日目
仙台では桜が咲き始める頃、朝晩はまだ冷えます。
午前中にホールへ入ると、空気がひんやりしていました。
前日は満席のお客様の熱気があり、その温度差が気になりましたが、大きな狂いはありませんでした。
この時の状態は、
・音程が大きく下がるような狂いはない
・ただ、少し透明感が落ちている
・高音部の一部にやや目立つ乱れがある
というものでした。
この日は時間をかけて、全体を整え直す調律を行いました。
本番の休憩中にも短時間の調律。
この写真は、たまたま観に来ていた友人が、客席から撮ってくれていたものです。
3日目
3日目になると、ピアノはかなり落ち着いています。
・音のばらつきが少ない
・響きが安定している
1日目、2日目と調律を重ねたことで、全体が安定してきた状態です。
本番前と休憩中に軽く整える程度で、3日間の仕事は終了しました。
ピアノはなぜ変わるのか
ピアノは次のような影響を受けます。
・気温(暖かい/寒い)
・湿度
・弾かれる量
環境と使われ方によって、毎日少しずつ変わる楽器です。
ご家庭のピアノでも、エアコンの使い方などによって、変化の出方は変わってきます。
こうした現場の仕事で、毎回意識していることがあります。
それは、良いピアノの状態を知ることです。コンサート用のグランドピアノは、日頃からきちんと整備されていて、いわばお手本のような存在です。その音やタッチを自分の中に蓄積して、普段の調律にも活かしています。
