このピアノは、アトラス製のグランドピアノ「AG500」です。
アトラスはアップライトピアノでは比較的知られていますが、グランドピアノは製造数が少なく、希少な存在です。ヤマハやカワイとはまた異なる、温かく柔らかい音色も印象的です。
昭和30〜40年代の日本では、小規模でも品質が高く個性のあるピアノメーカーがいくつもありました。私自身はもともと詳しかったわけではありませんが、調律先で実際に触れる中で、この時代に質の高いピアノが作られていたことを実感しています。そうしたピアノに出会うことは、いつも少し嬉しい瞬間です。
今回のご相談は、
「鍵盤が重い」
そして
「時々鍵盤が戻らない」
というものでした。
まず鍵盤の戻りについて確認すると、1ヶ所だけ連打した時に反応が悪い鍵盤がありました。
内部の木製部品にわずかな反りがあり、動きがスムーズでなくなっていました。
精密に組み合っている部分なので、ほんのわずかな変形でも動きに影響します。
この部分を削って調整しました。
このピアノは平成2年に製造されたもので、経年による大きな劣化は見られず、全体としては良好な状態が保たれていました。
次に、「鍵盤が重い」という問題です。
実際に弾いてみると、
単純に重いというよりも、動きが滑らかでないために重く感じている状態でした。
原因は、鍵盤を支えている金属のピンと、鍵盤の接する部分の摩擦です。鍵盤は上下しながら、このピンと擦れています。この部分の滑りが悪いと、例えばグリッサンドのように指を滑らせる奏法では引っかかりやすく、指を痛める原因にもなります。
そこで鍵盤を外し、ピンの表面にフッ素を塗布して滑りを改善しました。
(フッ素は滑りを良くする効果があります)
必要に応じて鍵盤自体の微調整も行い、取り付けます。
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鍵盤の重さについてのご相談はとても多く、
特に「重く感じる」というケースが目立ちます。
主な原因は
・部品の劣化
・湿気の影響
・調整不足
などですが、適切な調整で改善できることが多いです。
調律も完了したところで、ちょうど弾き手の方が帰宅されたので試弾していただきました。
演奏が始まると、思わず聴き入ってしまうほどの音楽で、
お話を伺うと、昨年大きな賞を受賞し、オーケストラと共演されたとのことでした。
弾き終わって一言、
「軽くなった!」
さらにご家族からは
「音がはっきりしたね」
とのご感想をいただきました。
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鍵盤の重さは、単なる「重い・軽い」だけでなく、
動きの滑らかさによって大きく変わります。
気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
*写真や作業内容の掲載については、事前にお客様のご了承をいただいています。
